（資格）情報処理技術者が技術士（情報工学部門，総合技術監理部門）を取得するには

　先日，「技術士が情報処理技術者試験に合格するのは簡単か」という話題がありました。逆からのアプローチなら分かるよということで，情報処理技術者が技術士（二次試験合格）を取得する際に知っておいた方が良いことを簡単に記します。これから目指す人は参考にしてください。

技術士（情報工学部門）の受験メモ

• 内容的にはシステムアーキテクト（SA）試験と知識・技能レベルは同程度。追加で技術力（課題解決力）が問われる。
  
• 業務経歴は時系列で技術力の向上が分かるように。一定期間以降（1行以上）は「指導」も含める。
  
• 業務経歴詳細は独自の工夫が奏効したことを記載する。SA試験で使用した題材の転用が可能。
  
• 筆記試験で問われる内容は情報工学全般および選択科目の専門知識，応用能力，問題解決能力，課題遂行能力。
  
• 筆記試験はSA試験と同じく題意に沿った回答が必須。たとえば「業務を効率的・効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ」に「優先順位を付ける」などの一般的な効率向上策を記載すると題意に沿わない回答となる。
  
• 口頭試験（面接）で問われる内容は実務能力（コミュニケーション，リーダーシップ，評価，マネジメント）と適格性（技術者倫理，継続研鑽）。
  
• 口頭試験では実務能力として業務経歴詳細に偽りがないか，記載内容が受験者に由来する工夫（技術力）なのかが確認される。「発注者に言われて実施した」などは不合格。
  
• 経歴や業務経歴詳細はそれぞれ3分，合わせて5〜7分で説明できるように。冒頭の質問になりやすい。
  
• 経歴はあまり重要ではない（配点がない）。
  
• 適格性の確認では技術士法の3義務2責務がなんらかの形で必ず質問される。「義務違反時の罰則が厳しいと思いませんか」といった聞かれ方もする（実際に聞かれました）。
  
• 継続研鑽として何に取り組んでいるか，技術士取得後はどうするかを明確に。

技術士（総合技術監理部門）の受験メモ

• 内容的にはプロジェクトマネージャ（PM）試験と知識・技能レベルは同程度。追加で技術力（バランス感覚）が問われる。
  
• 業務経歴は情報工学部門で使用したものと同じで良い。
  
• 業務経歴詳細に情報工学部門の技術内容を記してはいけない。対象業務は同じでも良いが，総合技術監理部門の立場で工夫したことを管理技術2項目以上を用いて記載する。
  
• 業務経歴詳細はPM試験で使用した題材の転用が可能。
  
• 筆記試験で問われる内容は総合技術監理に関する課題解決能力と応用能力。
  
• 筆記試験はPM試験のように午前I・II，午後I・IIそれぞれ6割以上正答すれば良いのではなく，択一式（午前）と記述式（午後）の試験を合わせて6割以上が必要。
  
• 経験上択一式で低い点数をとると記述式では挽回不可なので択一式対策（過去問の勉強）が非常に重要。正答率80％は欲しいところで，40％以下だと午後の試験は無意味の可能性あり。
  
• 記述式はPM試験でも使う経済性管理（工程管理，手戻り防止），人的資源管理（メンバーのスキル，客先も含めた雰囲気醸成），情報管理（コミュニケーション，共通の認識基盤形成）などの管理技術が適用しやすい。
  
• 安全管理は災害対策など，社会環境管理はグリーンITやGX（グリーントランスフォーメーション）などが挙げられるものの，情報工学部門ベースでは回答に使いにくい。
  
• 題意に沿った回答が必須なので，設問を十分に吟味すること。質問されていないことを記述しても得点にならない。
  
• 口頭試験（面接）で問われる内容は専門知識・応用能力で，具体的には経歴・応用能力と体系的専門知識が確認される。
  
• 口頭試験は情報工学部門の試験とは異なり，経歴に配点がある。
  
• 経歴や業務経歴詳細はそれぞれ3分，合わせて5〜7分で説明できるように。冒頭の質問になりやすい。
  
• 口頭試験での回答はすべて5つの管理技術を踏まえて行う必要がある。
  
• トレードオフをどのように解決したのか，またはトレードオフにならないよう導いたのかを説明する。
  
• 総合技術監理部門の資格が必要な理由（志望動機），なぜ必要なのかを明確に答えられるよう準備する。